パリ講和会議
会議設定
議題:巴里講󠄁和會議(Paris Peace Conference)
議場:同上
史実決議:
【対ドイツ講和】
- 正式名称:同盟及連合国ト独逸国トノ平和条約(Treaty of Peace between the Allied and Associated Powers and Germany)
- 通称:ヴェルサイユ条約(Treaty of Versailles)
【対オーストリア講和】
- 正式名称:同盟及聯合國ト墺地利國トノ平和條約(Treaty of Peace between the Allied and Associated Powers and Austria)
- 通称:サン=ジェルマン条約(Treaty of Saint-Germain)
【対ハンガリー講和】
- 正式名称:大正九年六月四日佛蘭西國トリアノンニ於󠄁テ帝󠄁國全󠄁權委員ノ同盟及󠄁聯合國全󠄁權委員竝洪牙利國全󠄁權委員ト共ニ署󠄀名調󠄁印シタル平󠄁和條約及󠄁附屬議定書(Treaty of Peace between the Allied and Associated Powers and Hungary)
- 通称:トリアノン条約(Treaty of Trianon)
【国際連盟問題】
- 国際連盟規約(Covenant of the League of Nations)
設定日時:1919年1月18日~1920年6月4日
使用言語:日本語
会議参加国数(予定):最大16か国(自治領含む)
募集人数(予定):25人~48人
フロント
会議監督:七戸 純(国立研究会・一橋大学経済学部・4年・老メン)
秘書官:阿部 珠季(早稲田研究会・亜細亜大学国際関係学部国際関係学科・4年・老メン)
秘書官:代田 快人(京都研究会・京都大学経済学部経済学科・4年・神メン)
秘書官:芹口 桃華(日吉研究会・University of Technology Sydney Bachelor of Business・2年・老メン)
秘書官:脇谷 耕基(京都研究会・同志社大学大学院法学研究科公法学専攻・博士前期課程1年・超神メン)
参加者へのメッセージ
パリ講和会議、この名前を聞いたことのない方はほとんどいないことでしょう。日本史であれば日本の国際社会における立場の関わりを、世界史であれば国際社会を形作る役割を学ばれたと思います。しかし、いずれにおいてもその最終的な評価は惨憺たるものであったはずです。アジアでは日中、欧州では独仏の対立を生み出し、第二次世界大戦へと繋がっていくのだ、と。そして模擬国連では、国際連合が戦間期を失敗例として参考にしたと学ぶでしょう。特に昨年のAJMUNにおいてサンフランシスコ会議で国連憲章を起草した方は「連盟の失敗を繰り返さないために」と幾度となく聞いたことでしょう。
しかし、パリ講和会議と国際連盟の失敗は、第二次世界大戦の講和会議と国際連合の「成功」は必然だったのでしょうか。第二次世界大戦が起こり、第三次世界大戦が未だに起こっていないことは必然なのでしょうか。第一次世界大戦の後により安定的な戦後秩序が形成され、かつ円滑な運用が為される可能性はなかったのでしょうか。デリの皆さんには、歴史を調べて国家として行動する楽しさだけでなく、現代の国際法・国際関係のなかで理想と現実を選択する楽しさを味わっていただければこれほど嬉しいことはありません。
また、この会議は戦争講和と規約起草という二議場制の採用、個性豊かな参加国によって、多様性に満ち満ちた会議となっています。そのため、デリの皆さんは自らの好みに基づいて議場と国家を選択することが可能です。これによって、ゲーム性を求める人と議論を求める人、安全保障が好きな人と法議論が好きな人、会議にのめり込みたい人と適度に楽しみたい人が共存出来るのではないかと考えています。
皆さんと1919年のパリで会えることを願って。
会議監督 七戸純
会議コンセプト
なす
まず、この「なす」という言葉には以下の内容が含意されています。
為す: 行うの意。各人が自分に出来ることを行う。
成す: 達成するの意。実際に自分なりの目標を達成する。
生す: 産み出すの意。楽しみ方や関わり方など、模擬国連での新たな自分を産み出す。
この根幹には、模擬国連の良さを生かしたいという思いが込められています。我々の考える模擬国連の良さ、それは「多様性」です。このように打ち出すと、「あぁ、現代社会にありふれたお決まりの文句ね。」と思う方もいらっしゃるでしょう。確かにその一面があることは否定できません。しかし、フロントは、特に会議監督はこの多様性に間違いなく拾い上げられてきたのです。
ニッチな分野への興味を受け入れてくれる多元性、新メンから超神メンまで全国大会に誰でも参加できる包括性、ゲームや演劇・学習としての解釈が可能な多面性、そして神メンがAJMUNの会議監督をすることが多い中、老メンを会議監督として受け入れてくださる寛容さが模擬国連にはあるのです。
コンセプトの中身に話を戻しましょう。先ほどまでに述べたように、模擬国連には多様な背景を持つ人がいます。その中で、デリに対して統一的に何かを求めるというのはとても難しいことです。そのため、我々フロントは皆様に何かを「なす」ことを目指していただくこと、それだけを提案したいと思っています。
中身は何でも構いません。「強くなりたい」、「力試しをしたい」、「挑戦したい」だけでなく、純粋に「楽しみたい」も良いと思います。より根本的に「楽しさを見つけたい」という思いも素晴らしいと思います。フロントから押し付けるのではなく、デリの皆さんが僅かでも目指す何かを持つことが大事なのです。
もちろん、「なす」べきものを見つけた皆さんが「成す」ために会議で「為す」準備をフロントは全力でサポート致します。会議の終わりには何かを「生す」ことが出来れば望外の喜びです。
やりきって初夢にはみんなで🗻🦅、そして🍆を見ましょう!
議題解説
第一次世界大戦という未曽有の大戦争は世界に大きな傷跡をつけ、さらには始まりをもたらしました。
西欧に限って言えば、第二次世界大戦よりも第一次世界大戦の方が多くの戦死者をうみました。そして何度も激戦が繰り広げられた独仏国境には、砲弾の重金属汚染によって100年たった今でも立ち入ることのできない地域が存在します。このように言えば、第一次世界大戦が欧州にもたらした深い深い傷跡が理解できるでしょうか。この「世界大戦」を「第一次」にしないことを誓い、多くの国の代表者はパリ講和会議に出席したのです。
しかし、思い描く地図の中身は人によって違うものでした。侵略者を徹底的に追い詰めて二度と立ち上がれないようにする立場と、民主的な政府の下で責任ある欧州の一員としての復帰を望む立場の差異は、同じ戦勝国の中でも根深い対立となったのです。
また、新たな世界を夢見る者もいました。アメリカ大統領ウッドロウ・ウィルソンは14か条の平和原則で、「民族自決の原則」と「国際連盟の創設」を訴えました。この呼びかけに応じ、列強によって分断されていた国家や、夢見た独立を手にした国家もまた、パリ講和会議の正式な参加国だったのです。国際連盟創設の運動も世界で高まりました。民間団体でさえ、規約草案を作成・発表を行って世界に平和を呼びかけました。
ですが、新たな国家同士ならば争いが起こらないなどという道理は存在しませんでした。ついに手に入れた統一や独立を守り抜くため、新国家は死に物狂いで一インチの領土を求めました。時には戦争に訴えかけてでもこれを成し遂げようとしたのです。また、誰もが国際連盟という理想を信じていたわけではありません。各々の政治事情や思惑のため、一分一単語を巡って厳しい交渉を行うのは他の外交会議と何も変わりませんでした。
会議場の外には、不穏な空気も漂っていました。ドイツのバイエルンでは社会主義政権が、ロシアではボリシェヴィキが、ハンガリーでは共産党が社会主義国家を宣言し、社会が根底から変革されようとしていました。また、過激なナショナリストも存在感を高めていきました。第二次世界大戦に繋がる先鋭的な思想は、このとき現実に顕現したのです。
しかし、希望を捨ててはいけません。新たな理想は間違いなく世界を照らそうとしています。そして同時に多くの首脳が集まるこのパリ講和会議にて、皆さんは全権として国家の利益と安定的な国際社会を勝ち取らなければなりません。理想と現実の狭間にて、皆さんは長い19世紀に終わりをつげ、真の20世紀を、「我々の時代の平和」をつかみ取るのです!
論点解説
この会議では主に「講和」と「規約」について議論がなされます。
「講和」では、旧ドイツ帝国と旧オーストリア=ハンガリー帝国の領土を戦勝国と新国家で分配します。民族分布や歴史的経緯、時には秘密条約を駆使しつつ、自らの主張する領土を獲得するのです。単に領土を併合するだけでなく、史実では期限付きの占領や住民投票に基づく帰属の決定など、幅広い選択がとられました。加えて、旧ドイツ帝国が保持していた植民地も議論の対象です。誰が分け前を得るかだけでなく、国際連盟における委任統治との兼ね合いも議論されます。
「規約」では、ウィルソン大統領によって提唱された国際連盟の規約を起草していただきます。特に新たな大戦を起こさないために、領土保全など主権国家としての権利に関する「政治的独立」や「制裁」について議論を行います。史実では国家の主権をどこまで制限するのか、制裁に軍事的制裁を含むのかなどが議論されました。加えて、安全保障理事会に相当する理事会の議席を中小国にどのように配分するのかといった「理事会の構成」、日米が提唱する「人種差別撤廃」や連盟に存在する地域的な枠組みとの関係を規定する「地域的了解」も可変箇所となっています。
国割
☆列強 トリデリ(特に英米仏)
◎地域大国 ペア必須
〇中小国 ペア推奨
◇自治領 シングル
◇Australia.
◎Belgium.
〇Brazil
☆British Empire.
◇Canada.
◎China.
〇Czecho-Slovak Republic.
☆France.
☆Italy.
☆Japan.
〇Poland.
〇Portugal.
〇Romania.
◇South Africa.
◎Serbia.
☆United States of America.
会議の特徴
会議には「二議場制」「国力差」「史実議長」の3点の特徴があります。
「二議場制」
論点解説で述べたように、主に講和と規約に論点が分かれています。史実でもこれらの議論は平行して行われており、この会議では分科会の形式で議論がなされます。
講和議場はオールコーカス形式で行われ、複数地域の議論や交渉を同時多発的に行うことができます。これに対し、規約議場は普通の会議のようにモデとアンモデが存在し、連盟規約を作成していきます。また、議論議論も行い、それぞれの議場での段取りを決めていただくことになります。
「国力差」
当時の列強は他の国と国力を圧倒しており、たった一隻の軍艦が小国を完全に屈服させることさえありました。戦争で傷ついたとはいえ、その圧倒的な国力で戦争を終結に導いたのは紛れもなく列強でした。そのため、史実の会議において正式に出席できる人数と票数には格差が存在しました。これに異を唱えた大使は総会で列強に叱責され、自らの発言をその場で撤回しなければならない程でした。
この会議ではこれを再現し、国によって会議における票数に差をつけています。
「史実議長」
史実では連盟規約の議論において、常に議論の主導権を握ったのは提唱者のアメリカ大統領ウィルソンでした。このため、ウィルソン大統領が議長を務めたように、規約議場の議長はアメリカ代表団から出すこととします。
この会議に参加していただければ、国割などの選択によってそれぞれの望むことに合わせた体験を得られると考えております。ぜひアプライ前メンターや座談会などで皆さんの思いや考えを聞かせてください!
対象とする参加者
私たちはあらゆる皆様にきていただきたいと思っています。ただし、それぞれの議場・国に特徴があるため、以下の内容を参考にしつつ自分のやりたいことと合うことを目指すとよりやりやすいと考えています。
議場
・講和議場
領土の交渉が中心であり、相互に絡む利益配分が関係します。そのため、ゲーム性や交渉を好むデリにおすすめです。
・規約議場
条文の議論が中心であり、国際法やこれらからの運用について考えます。そのため、議論を好むデリにおすすめです。
国家
・列強(特に英米)
あらゆる地域の事象に関心を持つ国家であり、自国の直接的な利益だけでなくこれからの世界をどのようにしたいかを考えなければなりません。そのため、やり込みたいデリにおすすめです。
・自治領(南ア・カナダ・豪州)
大英帝国を構成する主要な主体であり、一つの政治的主体としての行動と大英帝国としての行動を調和させなければなりません。そのため、グループとしての行動を好むデリにおすすめです。
・その他国家
国力に差こそあるものの、自国の位置する地域が最優先であり世界秩序には従属せざるをえません。そのため、範囲を絞ったリサーチと準備を好むデリにおすすめです。