湾岸危機
会議設定
議題:湾岸危機(The Gulf Crisis)
議場:アラブ連盟 緊急首脳会談
史実決議:決議195
設定日時:1990年8月7日~10日
使用言語:日本語
会議参加国数(予定):21か国・1事務局
募集人数(予定):21〜23人
フロント
会議監督:國分理桜(京都研究会・立命館大学文学部・4年・神メン)
副会議監督:奥山周亮(早稲田研究会・早稲田大学文化構想学部・4年・神メン)
議長:松岡幸汰(京都研究会・立命館大学国際関係学部・4年・神メン)
報道官:春名鞠慧(京都研究会・同志社大学法学部・4年・神メン)
秘書官:岡本京子(京都研究会・同志社大学グローバル地域文化学部・4年・神メン)
参加者へのメッセージ
就職活動をしている時私は困ったことがありました。それは模擬国連を説明できないことです。
もちろん、簡潔に表すことは簡単です。"大学生が外交官になりきって国際会議のシュミレーションをする活動"たった30字です。でも、私にとって模擬国連はそんな30字に表せるものでは到底ありませんでした。面接で何をしたのか聞かれるたび、分かりやすい過程と結果を説明しながら、もどかしさに唇を噛み締めました。私が大学生活得てきた1/10にも満たない言葉しか紡ぐことができない自らの表現力と形式化できない模擬国連、そして就職活動の枠組みガクチカを恨めしく思いました。
では模擬国連って一体何だと思いますか?私はその定義は個人によって異なると確信しています。
いわば、参加者の数だけ模擬国連の数がある。そんな多様な切り口を持つ模擬国連、みなさんは形式的に捉えてはいないでしょうか。議場において国際法を駆使しなければならない、先導し、決議を叩きつける強きもぎこっかーこそが本物のもぎこっかーだと思ってはいませんか?
勿論、会議当日は全力を尽くして国益を追求し、その国にとって最善の選択肢を模索し、次なる一手で決議採択に向けてもがきつづけるでしょう。しかし、あなたにとっての模擬国連とは、どこまでもあなたのもので、あなたなりの楽しみを享受するものではないでしょうか。
今回は我々なりの模擬国連像を提起しました。それが「体現と超越」です。
模擬国連とは、いわば己が主人公の舞台であると言っても過言ではありません。当時の国家に思いを馳せ、一体化する中で国際社会に目を向ける。そうすれば、例えば西側の覇権主義的行動や、東側の虎視眈々とした影響力拡大の野望、さらには大国に挟まれバランスに悩む国家の存在や、隣国からの恐怖など、今まで気づくことがなかった新たな視野が生まれます。その瞬間、日本人として生まれた、しがない大学生の私が戦う舞台への幕が開けます。
表現はドラマティックですが、実際模擬国連ができる可能性は、世界を多様な視点でみることだと思っています。外交を分析し、付加価値を見出すことで、歴史をミクロかつマクロな視点で自己に取り込むことができるのではないでしょうか。
そういった歴史や国際社会の中にある国家を取り込み、噛み砕き、表現する。そして史実を超えて外交を模索してほしい。そう考え、我々は「体現と超越」を会議における指針として定めました。
我々の会議では、極限まで国家と一体化することにワクワクし、思惑が交錯するアラブのジレンマに焦燥し、会議当日は狭い会議室に各国代表の熱気渦巻く三日間になるでしょう。
全日だからこその新しい門を叩きたい方、己の模擬国連を探究している方、強く共感し納得してくれた方…..ぜひ我々の会議に来てください!!!!
骨の髄まで楽しかったと言える四日間にしましょう。
اسأل مجرب و لا تسأل حكيم!賢者より経験者たれ!
会議コンセプト
体現と超越
この会議のコンセプトは「体現と超越」です。
『体現』
模擬国連とは、”学生が大使を模倣する”活動です。一介の専門家でもないただの学生が「国家を代表」することを追求するわけです。
そのため、当時の国家の状況や判断基準、国益の本質を理解し続ける努力が求められます。これはまさに「一国家の意思決定を極限まで追求すること」だと言えるでしょう。
そのためには、ゲームとしての勝敗や議場での評価の追求だけでは不十分です。実際の国家が策定したであろう国益を見出し、それに基づいて行動することが何よりも重要だと考えています。また、スピーチや立ち振る舞いなどを通じて、全身全霊でその国家らしさを表現することも重要だと言えます。
つまり、国家を核心から理解し、究極的に大使の思考回路に近づくことで、その国家を「体現」することが「模擬国連」でしかできないひとつの大きな体験であり、かつ本会議で特に求められることです。
『超越』
国家を体現する際に、単に史実をなぞるだけでは模擬国連は模擬国連の意義を持ちません。
ここで一つ例を出しましょう。『風神雷神図屏風』をご存知でしょうか。実はこの作品は世に3枚存在します。それは、江戸時代から現代に至るまで、琳派の芸術家たちがこの屏風を繰り返し模写してきたためです。これらの模写はただの模倣にとどまりません。原作以上の「美」を追求し、創造を重ね、独自の境地を開拓しようと試みているのです。”模する“とは師を敬った上で、原作を「超える」作品を生み出そうとする行為なのです。
これは模擬国連にも当てはまります。
史実を分析し、まずは史実を究極的に近づいて理解しようとする(体現)そして、史実を吟味した結果を踏まえて、史実以上に良い外交をする(超越)
この二つを掛け合わせたものが、模擬国連であると考えています。
模擬国連とは何なのか?この答えは人によって様々でしょう。今回私たちが提示する「体現と超越」は、一つの回答です。もちろん、この答えに疑問を抱く人も、逆に共感を示してくれる人もいると思います。しかし、どんな人もまずは「食ってみて」下さい。
各々が模擬国連をする目的・楽しさを発見する上で、模擬国連人生における原体験になるような会議を一緒に作りましょう!
議題解説
1990年8月2日、イラク軍がクウェート国境を越えて侵攻を開始。
イラク軍は6時間でクウェート全土を占領、これがアラブ世界を揺るがす出来事となります。
この侵攻は世界中から激しい非難の声を浴び、国際連合はイラク軍の即時無条件撤退を求める決議を採択しました。そして中東の舞台には多国籍軍が続々と集結し、緊張が高まり、世界は「湾岸戦争」の幕開けを迎えることになったのです。
今会議では、8月2日のイラクのクウェート侵攻後そして国際社会が介入する前のアラブ連盟首脳会議(8月首脳会談)が舞台となります。ゆえに、これから起こる未来を前にして、いかにアラブ自身でアラブの秩序を保つのか、クウェート侵攻をどう解決させることができるのかが鍵となるでしょう。
それでは当時の会議がどのような結末になったのかをお話ししましょう。
8月10日、アラブ連盟本部にアラブ各国の指導者たちが集結しました。しかし、共通の利益を守り、関係を強化し、問題を解決しようという目的の下で行われるはずだったこの会議は予想外の展開を迎えることになります。
会議では、イラクを非難するとともにアラブ諸国の軍隊派遣を求める決議195を採択。しかし、賛成12反対3棄権2留保3で各国の意見はまとまらず、アラブ諸国だけで湾岸危機を乗り切ることは絶望的に。後に国際社会の介入を許すことになったのです。
さて、会議は設立史上最も激動の会議と成り果てたのですが、対立の背景には様々な中東問題があることがポイントでしょう。
– 長く尾を引く欧州列強による歪な国境線からくる領土問題 –
– イラン・イラク戦争でアラブの主導権を握ったサダム・フセインとその英雄性 –
– 石油を巡るOPEC内での方向性の違いと取り決め無視問題 –
– 「リンケージ論」で展開されるパレスチナ・イスラエル問題 –
– イスラーム聖地を擁す湾岸地域と外国の癒着・介入問題 –
– 湾岸諸国の汚職問題などが存在 –
など。
さらには交渉過程では西サハラを巡るマグリブ諸国の対立、主導権争いを繰り広げるサウジアラビア、エジプト、リビア、イラクの対立も見られました。
まさに混沌とした中東情勢が議場で一気に乱れ咲くこととなるでしょう。参加者の皆様には、ぜひアラブ世界の代表として会議に参加し、国家を「体現」、さらには史実を「超越」していただきたいと考えています。
この緊迫した舞台で、各国の思惑が交錯し、中東の複雑な問題が浮き彫りになる瞬間を共に刮目しようではありませんか!!!!!!!!!
論点解説
首脳会談はイラクのクウェート侵攻について議論するが、アラブ的解決を目的とする会議であるため複数の視点から解決策が模索されうるものと考える。そのため、基本的にオープンアジェンダで議論を進める。
以下、論点例(例示列挙)
【論点案一例】
イラク・クウェート間の領土問題について
イラクと湾岸諸国の摩擦について
イラクによるクウェート侵攻について
軍事的措置の是非について
国際連合軍の介入について
パレスチナ問題とのリンケージについて
国割
アルジェリア民主人民共和国
バーレーン王国
ジブチ共和国
エジプト共和国
イラク共和国
ヨルダン・ハシミテ王国
クウェート国
レバノン共和国
大リビア・アラブ社会主義人民ジャマーヒリーヤ国
モーリタニア・イスラム共和国
モロッコ王国
オマーン国
パレスチナ国
カタール国
サウジアラビア王国
ソマリア民主共和国
スーダン共和国
シリア・アラブ共和国
チュニジア共和国
アラブ首長国連邦
イエメン共和国
アラブ連盟/シャドリ・クリービー事務総長
※イラク共和国のみ、参加者はサダム・フセインではない。しかし、フロントアクターという形でサダム・フセインが参加する。
全てシングル/人割会議
会議の特徴
「体現」
・国家を代表する人が明確に存在している国割であることで、判断主体が不明瞭な国家を究極的な一人格として表現可能
・より国家としての価値観、信念、譲れないものが絡んだ合意可能領域の狭い対立を生む政治的な議題であるため、いかに国家に沿った議論/交渉を展開できるかが鍵となる。
=アラブ連盟会議史上最も”割れた”議場
「超越」
・史実での失敗がある点
→あまりにも無能なSG(事務局)とほぼ議論することなく提出された決議
→アラブ連盟の憲章改正に至るような投票方法が取られたこと
→アラブ連盟会議史上最も”割れた”議場である結果
【その他】
・非常に単純明快な議題で、一言で説明できる会議結果
⇔反面、国家/首長リサーチを徹底的に!深掘りできる
・対立構造が中東問題すべてを全て結びつけることができる戦略選択幅の広さ
⚠️議題の難易度が高く、議題リサーチでお腹いっぱいになる会議ではなく、深くリサーチし、戦略展開まで十分な満足度を持って実現することができることが重要だと考えている。
対象とする参加者
大学模擬国連に参加し、興味を持っている全ての人が対象です。中でもこんな人がおすすめです!
- 模擬国連が面白くないと感じている人
特に、リサーチや会議準備に追われて面白くない・技術的側面に囚われている人は、国家表現・体現の究極的な追求という新しい目標値で楽しんでもらえると思います。老メン以上で模擬国連を継続しようか迷っている人。もしくは、模擬をする理由が見つからなかったり、いまいちピンときていない人もぜひ。
- スタイルなどなく、まだ走り始めている人
一旦、型を知って、可能性を広げることができます、ぜひ。
- 【体現と超越】コンセプトに共感してくれる人
自分のスタイルや楽しみ方に自信を持ってもらいたい。共感だけでなく、理解して自分のやり方を思う存分発揮していただければと思ってます。
- 模擬国連の目的を持っている人
自分なりのやり方に自信が持ててきた人。異なる模擬国連の目的観を持つ人こそ、この会議のコンセプトを体感して価値観を広げてほしいです。