国連サイバーGGE
会議設定
議題:情報セキュリティに関する政府専門家会合(Group of governmental experts on “Developments in the field of information and telecommunications in the context of international security”)
議場:同上
史実決議(正確には成果文書は報告書):A/68/98
設定日時:2012年〜2013年
使用言語:日本語のみ(文末の動詞を含め、英語は使いません)
会議参加国数(予定):15か国〜20か国程度
募集人数(予定):15人〜50人
フロント
会議監督/議長:田部井淳志(駒場研究会・東京大学工学部計数工学科・4年・神メン)
副会議監督:吉田直樹(駒場研究会・東京大学法学部第1類・4年・神メン)
秘書官:牧田隆広(日吉研究会・横浜市立大学国際商学部国際商学科・4年・神メン)
秘書官:山崎友里(早稲田研究会・早稲田大学政治経済学部政治学科・4年・神メン)
参加者へのメッセージ
こんにちは。本会議の会議監督を務めます、駒場研究会14期の田部井淳志と申します。この挨拶をご覧になっているということは、(願わくば)本大会への参加並びにその中でも本会議への参加をご検討いただいているのではないでしょうか。もしそうであるならば、皆さんにはぜひある問いへの自分の答えを考えていただきたいと思っております。もぎこっかーならば一度は考えたこと、問うたこと、問われたことがあるだろう問いです。
それはずばり、「模擬国連とは何か」です。ぜひお考えください。
個人的な意見ですが、本大会のようにいくつもの会議がある中から自分が参加する会議を選ぶ形式の大会においてどの会議に参加するかを選ぶ際には、究極的にはこの問いへの自分の答えを探すのが大事になると思っております。ここが一致する度合いが高い会議に参加するのが会議選びの一つのコツではないでしょうか。
その上で、私なりのこの問いへの答えは「各参加者が特定の国の大使として議論・交渉などの手段により自国益を最大化していく競技」です。4年にわたり参加させてもらった模擬国連という営みについて、私はこの認識をもち、今回会議を作成しています。以下に述べる会議コンセプト、会議設計なども全てその認識の上で、いかに良い「競技としての模擬国連」を実現できるか考えてフロントと共に作っているものです。逆に言えば、それ以外の要素は極力削ぎ落とし、純然たる議論・交渉を通した勝負ができるようにしています。
ですので、もしあなたが「競技として」模擬国連を捉えて、その中で頑張りたいと思っているのであれば是非是非この先もお読みいただいて前向きにご検討頂ければと思います。もしあなたの答えが全く違うところにあるのであればその答えにあった他の会議をご検討いただくのが良いでしょう。もしまだあなたの中に答えがないのであれば、(本会議を含め)様々な会議をご覧になって、自分なりの答えを探してみてください。急ぐ必要はありませんが、比較的時間もコストもかかる営みをするにあたり、自分の中になんらかの軸(答え)があるとこの先より有意義な時間が過ごせるでしょう。
まとまりのない乱文になってしまいましたが、この挨拶をご覧になっている全ての皆様にとって本大会が有意義なものとなることを一参加者として心より願います。本会議に参加していただくことになる方はどうぞよろしくお願いいたします。
会議コンセプト
國破山河在(國破れて山河在り)
本会議は、杜甫の『春望』の一節を会議コンセプトにしています。聞いたことがあるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。杜甫が春望を詠んだのは757年で、安史の乱により唐の国都であった長安は陥落してしまいました。大意を訳すると「(かつて栄華を誇った)長安の都は荒廃してしまったが、(故郷の)山や川などの自然は(その美しさを残して)まだ残っている」とでもなるでしょう。当時官吏であった杜甫が戦乱による国家の荒廃を嘆いたものと言えます。一方で、私には国家が崩れても同じようにそこにあり続ける自然の美しさを詠んだものにも思えます。抽象的な言葉で語るのであれば一時の価値と悠久の価値の比較という側面があるのではないでしょうか。本会議では、そんな杜甫の詩に準えて、一時の価値ではなく悠久の価値を追って欲しいと思い、このコンセプトを設定しました。以下、もう少し具体度をあげて説明します。
第一に、本会議参加者の皆さんには「本会議における成功」よりも「もぎこっかー人生の中での本会議の価値」を大事にしていただきたいと思っております。どんなに強いもぎこっかーでもうまくいかないことはあります。一つの会議のアワード、一つの会議での勝利に過剰な意味を見出すことなく、もぎこっかーとしての長い人生の中で本会議をどのように位置づけたいか、考えてみてください。(もちろんその位置づけとして「最後の会議だから自分が出せる全てを出し切りたい」というのであればそれでも構いませんし、「こういうことができるようになりたい」という具体的なものでも構いません)
第二に、本会議参加者の皆さんには「再現性のある会議行動」を意識して欲しいと思います。模擬国連という競技は人と人との競技です。であるからして、自分の力ではどうにもならない不確定要素がいくつも存在します。相手のミスをうまくつくのも一つの戦術ではあるでしょう。しかし、これは第一の点にもつながりますが、「今回うまく行ったから良い」「今回ダメだったからダメ」ということではなく、「何度やっても確実にうまく行っただろう」と言えるようになるまで、自分の中で戦略・戦術の検討を重ねて欲しいと思っています。「会議中のどんなifにも対応できた」という状態で勝ってこそ真の意味での模擬国連における勝利と言えるのではないかと思います。なお、会議設計の上でもなるべく「イレギュラーなif」を抑えられるよう工夫をしています(後述)。
最後に伝えたいのは少し毛色が違う話です。本会議参加者の皆さんには、失敗を恐れず挑戦して欲しいと思っています。杜甫の詩に戻りますが、長安の都はきっと隆盛なものだったでしょう。それが崩れ去るというのは悲しいものです。同様に、皆さんの中にも「これまでうまく行ってきたことを失いたくない」「失敗してしまうのが怖い」という思いが多かれ少なかれあるかと思います。しかし、模擬国連をしていくにあたり失敗はつきものです。会議前も会議中も会議後も、失敗を恐れることなく、失敗の先にも存在する大事なもの(もぎこっかーとしての軸とでも言えましょう)を見失わずに会議に臨んで欲しいと、心より思っております。
本会議では、純粋に議論と交渉を突き詰めて行えるよう会議設計を行っております。そのシンプルな会議設計の中で、是非自分なりに様々な検討を重ね、会議に臨んでください。
議題解説
本会議の議場は国連サイバーGGE(政府専門家会合)と呼ばれる議場です。2004年以来今日に至るまで5回にわたり開催されています。情報セキュリティの問題について包括的に検討し、国連総会に報告書を提出しています。本会議においてはそのうちの第3回会合を取り扱います。この会合の中で特に取り扱う内容については、次の論点解説で紹介します。
そもそもサイバー分野における国際社会の動きは非常に複雑なものであり、各国が自国の志向する秩序を推進するために様々な動きをとっている。例えば、欧州評議会などはサイバー犯罪条約をいち早く採択しており、西側諸国はそれを中心に独自に秩序を作り上げていた。それに対して中国やロシアなどは国連主導での新たな枠組みを期待しており、その流れを受けて開催されているのがこの国連サイバーGGEである。ここに自分たちが作り上げた秩序を導入したい西側諸国の思惑、この文脈で情報インフラなどにおける支援を期待する途上国の思惑などがぶつかることになる。
このように様々なアクターの思惑がぶつかり合う場所であるこの国連サイバーGGEという議場の特徴としては、少数の国の専門家が集うコンセンサス会合であるという会議形式がまず挙げられよう。仮に一定の結論を得ることができなかった場合、その議論内容すら公開されることなく報告書を含む一切の成果物は提出されない(実際、本会議設定日時後ではあるが第5回国連サイバーGGEは成果文書なしで終わっている)。ある種交渉過程がブラックボックス化されている中で、各国は上述したような事情と、今後見込まれるであろうサイバー分野における他アクターの急進的な技術発展などへの警戒心から、それぞれに成果を出さなければいけないというプレッシャーを背負って本会議に望むことになっている。参加者の皆様にはこの議場の中で、新たな秩序、国際規範について自国が望むものを作り出せるよう、力を尽くしていただきたい。
論点解説
上述したとおり、国連サイバーGGEは情報セキュリティ分野における広範なアジェンダを扱っています。しかし、本会議においては時間などの都合を鑑みて、Chapter IIIの国際規範(Recommendations on norms, rules and principles of responsible behaviour by States)についてのみ扱うことにしています。とは言え、この章の中でもサイバー空間における国際法の扱い、人権の扱い、違法行為の扱い、民間セクターへの対応など広範なトピックが扱われることになります。
しかし、本会議においてはフロントからの論点指定は行わない形式をとっており、参加者の皆さんに議論議論(どのように議論を行うか、という議論)を行っていただくことになります。トップダウンで「サイバー空間における秩序はどうあるべきか」から議論を初めて具体的なトピックに落とし込む方法もあれば、ボトムアップで各トピックについて議論・交渉した末に「総合的にサイバー空間における秩序はどうあるべきか」を議論・交渉することもできるでしょう。また、具体的な争点についてもそれぞれが一定程度関連し合っています。そのため、それらの繋がりも踏まえながらどのように議論・交渉していくか考えていただきたいと思っています。以下、具体的な争点について紹介していきます。
<主権が及ぶ範囲>
この争点では主に既存の国際法がどの程度サイバー空間に適用できるかが話し合われます。現状の国際法の多くはサイバー空間という概念を想定せずに作られたものだとすればそれをそのまま適用して良いのかどうか、また適用されるのであればどのように適用されるのかが争われました。特に各国が持つ主権がどこまで及ぶのか、「情報に対する主権」は存在しうるか、などの争点については対立が激しいでしょう。
<サイバー空間における人権>
こちらも既存の国際法がどのように適用されるかをめぐる問題になります。言論の自由やプライバシーの権利など、おそらく聞き覚えのある権利規範がどこまで認められるのか、またそれがなんらかの事情においては制限されうるかなども争点となります。
<違法行為についての対応>
各国が取り締まるべき違法行為とは何か、また国家そのものが違法行為を行うことはありうるか、それはどう取り締まれるか、などについても議論が交わされました。既存の国際裁判所などがその対応の中で役割を期待されれば、その辺りについても各国の思惑がぶつかることにもなります。
<民間セクターについての対応>
サイバー空間におけるアクターは当然国家だけではありません。民間セクターについて各国はどの程度責任を持つべきか、多国籍の場合はどうするか、また「責任」はどの程度「管理」に結びつくかなど、各国の思惑や懸念が様々なレイヤーでぶつかることになります。
国割
Argentina
Australia
Belarus
Canada
China
Cuba
Egypt
Estonia
France
Germany
India
Indonesia
Japan
Russian Federation
South Africa
Tajikistan
United Kingdom
United States of America
Uzbekistan
※若干の増減の可能性はあります。
なお、本会議は基本的にシングルでアプライしていただく想定ですが、希望される場合はペアデリでの応募も可能です。シングル・ペアにより希望できる国が変わることはありません。
会議の特徴
上述したとおり、本会議はコンセンサス会議になっています。議場は一つです。
模擬国連上追加した独自の特徴として、本会議においては採択時以外、モデとアンモデの非公式討議しか取れないものとします。また、提出できる公式文書は報告書のみとし、採択されなかった報告書案については提出国も含め一切公開されません。簡単に言えば、議場の外に発信されるのは、コンセンサスが成った場合にはその成果文書としての報告書、成らなかった場合には「コンセンサスが成らなかった」という情報のみです。
このような会議設計にしているのは、参加者の皆さんに純粋な「議論と交渉」を突き詰めて考えていただきたいからです。一般的な議場においては「票」「スピーチ」「作業文書」「手続き上の戦略」などなど、様々な手段/カードを駆使しながら会議に臨むと思います。そういった飛び道具もまた模擬国連を面白くする一要素たりうるでしょう。しかしそれによって議論と交渉という本丸が疎かになってしまっては本末転倒です。ということで、本会議ではあらゆる飛び道具なし、議論・交渉で真っ向勝負!という構成をとっています。
ついでに言えば、本会議では事前会合は行わず、事前交渉についても会議進行案(TT/論点案)の提示のみとします。事前交渉などにどれだけ時間を割けるかという、若干場外の要素が影響を持つことを極力避けるためです。なので基本的には参加者の皆さんには本会合からヨーイドンで戦っていただければと思います。
また、本会議では議論議論も行っていただきます。自国益を深く掘り進め、そこから望ましい帰結を想定し、どのような議論・交渉を行えばその帰結を導けるかを考えていただいた上で、全ての参加者の方に「与えられた枠の中で戦う」だけでなく「会議を自分で作っていく」という自負を持って会議に臨んでいただきたいからです。
対象とする参加者
ここまでで述べたとおり、本会議は模擬国連を競技として捉えた上で、純粋に議論/交渉の真っ向勝負ができるように作っております。そのため、このような競技性に惹かれる方、模擬国連を競技として捉えているがあまり具体的なイメージができていない方に是非ご参加いただきたいと思っております。
メン齢や会議経験等は不問です。自分なりの型ができている方はそれを最大限発揮できるようにサポートいたしますし、いまいちそれができていないと言う方はフロントでしっかりとサポートする所存です。ご不明な点等あれば遠慮なくお問い合わせください。